北海道自動車情報誌「カーピアCelhome(セロム)」は寒冷地の視点で車の特徴を紹介|発行:株式会社イベント工学研究所

北の大地・風を読む

本誌編集長 佐藤 公(さとうたかし)

2018年4月+5月 陽春号

車の「モノ」から、モビリティ・サービスの「コト」時代に
〜自動運転など、AIの活用で社会変革〜

自動車の変遷、現行車から“自動運転車”さらに“空飛ぶ車”へ
 自動運転のカギを握る人工知能(AI)をはじめとするIT(情報技術)の革新、進化などで、未来(次世代)のカーライフは楽しくなってきそうだ。
 自動車の歴史をみると、今の自動車の原型となるガソリンエンジンを馬車や二輪車に取り付けて、ドイツ人のゴットリープ・ダイムラーが走行実験をしたのが1870年代。その後1908年に米国でヘンリー・フォードが量産を可能にした生産方式「T型フォード」を世に送り出した。  そしてわずか(?)120年後の今日、エンジンに加え、ドライバーも不要となる次世代車「自動運転車」の技術開発戦争が始まっている。さらにその先の道(空)には、道路も必要としない「空飛ぶ車」*(注)の開発も世界で進んでいるというから自動車という既成概念も変わってくる。それ故、次世代の自動車の進化には夢、空想があり楽しく面白い。
*(注):NECは2018年4月、日本初の空飛ぶクルマを開発するカーティベーター・リソース・マネージメント(東京都新宿区)と、2020年の空飛ぶクルマ実現に向けてスポンサー契約したと発表した。  さらに、次世代では、内燃機関を使うガソリン車やディーゼル車から、排ガスゼロでエネルギー源となる電気自動車(EV)や燃料電池車(FCV)に置き換わる。その上、次世代車は素材や外観スタイル、室内の装備なども創造を超えた設計となりそうだ。今までの車庫に代わり車は住宅の室内(部屋)の一部として置かれて使われる時代になるかも知れない。外ではモビリティ、内(室内)では家電家具類という優れものになるかも知れない。
自動運転車は「課題解決先進国」日本の新しい交通手段に
 かっては車の所有は富(財産)の象徴ともされたが、相乗りの普及で「いかに利用するか」という所有から利用のシェアリングエコノミーに移行する時代になった。
 車メーカーが競ってきた新車の燃費や馬力など「モノ」としての車より、今、車で何ができるかという「コト」への関心が高まってきている。つまり、モビリティ・サービスのコンテンツの開発、創造の如何がメーカー存続の生死を分ける時代となった。例えば、自動運転車では車内で仕事をしたり映像や音楽を楽しんだりできる。それ故に未来のクルマは走行性能を競うのではなく、乗車中のサービスの内容、乗る楽しさが勝負になる。
 また、自動運転車という新しい交通手段の確保で、高齢化に伴う様々な課題(運転免許返上、認知症)を上手く解決することで経済成長にもつなげることもできる。政府、産業界が描く「課題解決先進国」*(注)実現のためにも自動運転車の早期発進が必要になってくる。
*(注)日本が他国に先んじで直面し、今後他国もその課題に直面することが確実視されている大きな課題、少子高齢化・人口減少などがある。こうした課題に対して、もっと創造性を発揮して、積極的にイノベーションを生み出し解決していこうという国策。
 欧米の自動車メーカーは、鉄道やバスなど公共交通機関、自転車を含め、最適な経路や料金で人々の移動サービスを提供する「モビリティ・サービス・プロバイダー」に変わろうとしている。トヨタも「メーカー」から「モビリティ・カンパニー」への変革、対応を急ぐ。車を介して広がる市場をどのようなサービスを提供して獲得していくか。次世代車の開発、シエアを巡って世界の自動車メーカーは、異業種を巻き込んだ様々な企業の知恵比べと提携が熾烈に始まっている。
 次世代のカーライフを、夢を見て、想像して今、楽しむことができるのも「車」という良きツールがあってこそである。しかし、世界が平和でなければそのような社会は来ないことも事実である。

 近年その活用方法に注目の高まるAI(人工知能)。そのAIの最新技術や活用法などを紹介する展示会「第2回AI・人工知能EXPO」(リードエグジビションジャパン主催)がこの4月に東京ビッグサイトで開催された。人工知能に関する研究からアプリケーション・機器・サービスまでが一堂に集まる初のビジネス向けの国際見本市である。
 AIは自動車業界でも自動運転をはじめ、生産管理、需要予測、接客など様々な分野で活用が期待されている。展示会でAIの活用提案が各分野で行われたが、自動車業関係以外でも興味を引く提案ブースもあった。
 「SNOW」のセンスタイムジャパン(京都市)*(注)が開発した、AIで"イケメン度"を採点するものだ。
 「あなたは26歳で、顔の魅力度は75点」「あなたは30歳で80点」――。iPadのカメラに顔を写すと、AI(人工知能)が瞬時に年齢と"顔の魅力"を数値化し、鏡に映し出す技術「HumanAction」が展示会で披露された。*(注)センスタイムジャパンは、中国のAIベンチャー・SenseTime Groupの日本法人。
 また、「"婚活アプリ"と連携できれば面白い」「顔のタイプ別に好きな異性の傾向を見いだし、ユーザーが"自撮り"をすると、相性のよさそうな異性や同等のスコアの異性をレコメンドするサービスはスケールしそうだ。使えば使うほど、より個人にマッチした異性を紹介できる仕様にできるといいだろう」(勞社長)と将来展望を話す。
 AIは目的に沿ってデータを活用する手段、人に完全に取って代わるものだ。AIにモラルが求められる時代が早晩来るだろう。蛇足だがAIに、忖度するようなアプリケーションが開発されたら夢がなくなる。
 AIが急速に市民権を得ている一方で、これを正しく使いこなせる人材は不足しているという。AIに関するエンジニアの育成を支援する動きが活発化しそうだ。

本誌編集長 佐藤 公(さとうたかし)

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