北海道自動車情報誌「カーピアCelhome(セロム)」は寒冷地の視点で車の特徴を紹介|発行:株式会社イベント工学研究所

北の大地・風を読む

本誌編集長 佐藤 公(さとうたかし)

2019年8月+9月 盛夏号

2020年は自動車販売革命の元年!?
〜トヨタの販売車種併売化で
− 求められる、顧客の囲い込み戦略「One to One」マーケティング −

自社客中心主義経営への転換ヘ

 今や、自動車業界は100年に一度の大変革期と言われているが、自動車販売(ディーラー)業界でも来年2020年が「販売革命元年」となりそうだ。
 つまり、トヨタが「より地域に根差した新たなモビリティサービスを提供することができる販売ネットワークの変革に取りくむ」ことから、国内販売の約50%を占めているトヨタの全販売店(トヨタ店、トヨペット店、カローラ店、ネッツ店の4系列)の販売車種を併売すると昨年11月に公表したからである。
 さらに、その実施年を前倒して、来年(2020年)5月から実施すると発表した(2019年6月)。「世の中の変革スピード、CASE(コネクティッド、自動化、シェアリング、電動化)の進展による市場や時代の変化が加速する中で、国内6,000店舗の最大活用とネットワークの変革を一層スピードアップする必要があると判断、2022年〜25年を目途に行うとしていた全車種併売化の予定を来春5月に前倒し致します。全国どの店舗でも、クルマや移動に関するあらゆるサービスを提供することで、お客様のニーズにさらに寄り添うサービスの早期実現を目指してまいります」というメッセージを発表した。
 他のブランドでも、ホンダは2006年3月にプリモ店、クリオ店、ベルノ店が全車種併売へ移行し、HondaCars店が誕生している。
 また、日産の併売の歴史は、まず1994年4月から始まった日産販売店網の再編により、「モーター店」(ローレル系販売会社)と「日産店」(主にブルーバード系販売会社)の販売ラインナップを統一させたことにより誕生したのが「ブルーステージ」。「日産・プリンス店」(スカイライン系販売会社)・「日産・サティオ店」(サニー系販売会社)そして、「日産・チェリー店」(パルサー系販売会社)の販売ラインナップを統一させたことによリ誕生したのが「レッドステージ」だ。
 しかしながら、販売ラインナップの統廃合により販売会社の再編が進み、ブルーステージ同士やブルーステージとレッドステージとの合併が数多く行われたため、2007年以降、レッド/ブルーの色分けが中止に至り、併売となっている。

顧客の「精神的な価値」の戦略設計も

 では、併売によって業界はどのような販売競争、生き残り競争が新たに展開されるのであろうか。
 まず、北海道の自動車保有車両数(乗用、軽自乗用)は約282万台(2019年5末月末)で年々減少している。この市場のパイ(シェア)の獲得争いである。つまり、自社客中心主義経営への転換、フロー客(新規来店・展示会)からストック客(自社客)が主体の経営への転換である。
 故に、販売店のCS(お客様の満足度)向上は当然として、マーケティング力の如何が一層求められるのである。それは各販売店が保有管理している自社客(ユーザー)の『囲い込み(固定客)戦略』である。
 顧客の囲い込みとは、「顧客との長期的関係性の構築(継続取引)」であり、戦略をもって既存顧客離れを防ぎ、さらには有力な見込み顧客を取り込むことである。
 さらに、その常連客(regular customer)から、その店にとって価値のあるお得意様(loyal customer)への育成を如何にするかである。
 顧客セグメント別の対応強化、進化がこれまで以上に求められる。究極的には『One to One(ワン・トゥ・ワン)』マーケティングの実践であるが、個々の顧客を理解して、適切なサービスを提供するためのデータ蓄積とその分析、活用が不可欠である。データベース構築が重要となる。
 疎遠客のフォローを専門に行う部署を持つ販売店が増えているという。スタッフが本来の担当セールスに代わって連絡をとってみる『掘り起こし作戦』が思いのほか反応が良く、成果が上がっているという。
 ITによる自動化が進むことで大勢に向かったマスマーケティングから、個人に合わせたOnetoOneマーケティングに時代は変化してきているのである。
 モビリティサービス社会において、販売店が持続的成長を遂げるには画一的な業態から抜け出し、マーケティングカを駆使して斬新なイノベーションにより、新たなビジネスモデルを構築していく必要がある。社会情勢の変化に即応し、スピーディ、かつ柔軟に対応する事が企業の持続的成長の要因であり、顧客ニーズの変化に的確に対応できなければ市場から退場を迫られる。
 「顧客から選ばれる」かつ「顧客のロイヤリティを高める」販売店であるには、商品などの金銭的な価値提供と合わせて、信頼からお客様の笑顔を創造する精神的な価値(絆)としてどのようなものが考えられるか、その点も加味した戦略設計が必要となるだろう。
 併売による顧客対応の「One to One」マーケティングの進化、実践が販売店の生き残り術の一つと言っても過言ではない。

本誌編集長 佐藤 公(さとうたかし)

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