北の大地・風を読む
本誌編集長 佐藤 公(さとうたかし)
2020-2021年12月+1月 冬将軍号
新型コロナ禍、ピンチをチャンスに
「新たなスタンダード」の確立を!
−自動車業界にチャンスが、生活者の移動手段の変容で−
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この20年間で「ニューノーマル」変革は過去に2度(ITバブル崩壊、リーマンショック)起きていた
新型コロナウイルス感染症(以下新型コロナ)の拡大が止まらない。21世紀は予測できない変化が起こり続ける時代”ニューノーマル(新常態・新しい常識)“な時代への転換期となった。(注:ニューノーマルの時代を迎えることを「転換期」と呼ぶ)
「ニューノーマル」とは、世界経済はリーマンショックから立ち直っても、もとの姿には戻れないとの見解から生まれた言葉である。
2012年から、中国の経済は市場の減退を見せ始め、成長率も2007年から2009年にかけての金融危機以前に2桁パーセント台だったものが、2014年には7%まで鈍化した。2014年、習近平国家主席が中国は「新常態」に入りつつあると述べたことから、これがニューノーマルに相当するといわれている。
しかし、「ニューノーマル」という構造的変革は、2000年以降、過去に2度ほどそれは訪れていた。
第1次の転換期は2003年頃に起きた「IT(情報通信技術)バブル崩壊」。1990年代における「インターネット社会の到来」で、Googleの検索エンジンサービスや、電子メール、そして、携帯電話の普及が始まり、新しい文化によって巻き起こったIT大ブームだったが、IT関連企業への過剰投資によってもたらされた異常な株高とその崩壊でITバブル崩壊が起きたのである。
第2次の転換期が、2008年にアメリカのリーマン・ブラザーズが経営破綻したことによって、2009年に金融危機が起こり世界的な経済不況を迎えた「リーマンショック」。日本でも多くの企業が経営面にダメージを受けた結果、CSRなどによって、企業の責任が問われるようになった。
そして、3つ目の転換期が2019年中国で発生し、世界に蔓延している今の「新型コロナウイルス感染症」である。しかし日本では「働き方改革」が叫ばれる昨今においては、既に「ニューノーマル」の萌芽(ほうが)みられていたが、ここにきてダメを押す形で新型コロナが世界にはびこり、多様な第3次ニューノーマルは加速するのである。
社会的な大きな変化が起こると、人々の価値観や生活観に影響を及ぼし、元のようには戻ることなくその環境が常態化していき、ニューノーマルがやがて「ノーマル」となっていく。働き方をはじめ新たなスタンダードが確立される時代に差し掛かっているのである。
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新型コロナ対策で北海道は集中対策期間を延長するなど道民の行動の自粛を促している。そのようなコロナ禍不安のなか自動車業界の先行きはどうか。自動車業界は生き残り競争が激化するなか、大きなチャンスを手にすると見られている。
移動規制解除後は、生活者の多くが自家用車や単独で利用できる移動手段(自動車、バイクなど)を選ぶようになり、公共交通機関やライドシェアリングの利用頻度が低下すると予想されているからである。
IBMが2020年5月に実施した調査では、アメリカでは17%以上が、「COVID-19(新型コロナウイルス)がきっかけで自家用車をより頻繁に利用するようになった」と回答し、ほぼ4人に1人が「自家用車を自分専用の移動手段にする」としている。なお、回答者のうち3分の1が、COVID-19終息後に車を購入するにあたっては「経済上の制約」が最も強く影響する、つまり価格を重視すると回答している。(学芸出版社HP)。
最後に「新型コロナが落ち着いたら……」と考えるよりも新型コロナと共存(ウイズコロナ)しながら、ニューノーマルな様式に必要な知識・技術を身に付けていく前向きな考え方、姿勢が重要ではないだろうか。
本誌編集長 佐藤 公(さとうたかし)
過去の記事
2020年
- 脱ガソリン加速!各メーカー中国で稼ぐ、EV車戦略に活路 − 今年唯一の「北京国際モーターショー」終わる − 文 佐藤 公
- 国産自動車販売店の再編進む!事業効率化と地域密着型経営を目指して − トヨタ、直営販社5社を地場資本に譲渡 − 文 佐藤 公
- 新型コロナウイルスのパンデミックは社会をどう変えるか −「新北海道スタイル」を定着させ、新しい北海道の創生を! − 文 佐藤 公
- 新型コロナウイルス感染防止 『新・ドライブのすすめ』− ドライブは3つの密(密閉・密集・密接)を避ける − 文 佐藤 公
- Come On! 目を覚まそう! 人類の危機「地球温暖化」− 問われる指導者の適切なリーダーシップと「哲学観・理性……責務」 − 文 佐藤 公
2019年
- 変貌を遂げる新時代 「世界のモーターショー」− 変わる勢力図!中国、タイ、ジャカルタなどが台頭 − 文 佐藤 公
- 「東京モーターショー」、多くの海外自動車メーカーの出展を促したい! − 商業主義ではなく、クルマのある末来社会、競演の場として − 文 佐藤 公
- 2020年は自動車販売革命の元年!? 〜トヨタの販売車種併売化で − 求められる、顧客の囲い込み戦略「One to One」マーケティング − 文 佐藤 公
- 人間関係が薄れていく IT・AIの「人生100年時代」 − ”哲学対話”をもっと身近にしよう! − 文 佐藤 公
- 不透明な世界情勢は、「ヒューマンファースト、理性・感性」の哲学的思考で究めよ!− 大きな転換期を迎える令和時代 − 文 佐藤 公
- 平成時代の「先送り」からポスト平成「先取りへ」― 生死事大”人生に待ったなし!” ― 文 佐藤 公
2018年
- 人生成功の道しるべ 「一行三昧」という禅の生き方 ― 文 佐藤 公
- “夢ある北海道”。電動社会と水素社会実現に向けて「エネルギーのインフラ整備」を確実にかつ早急に! ― 文 佐藤 公
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- 新緑号・「変貌する札幌、まちづくりは" 百年の計 "が必要」―「まちづくり」は安全・安心・便利のコンセプトで― 文 佐藤 公
- 陽春号・「人の魅力は苦労の数に比例する」―"困難にも勇気を持って挑め"入社式の訓示で― 文 佐藤 公
- 冬将軍号・「デザイン思考」で経営戦略を!―イノベーションのエンジンは「デザイン」― 文 佐藤 公
2016年
- 冬将軍号・開道150年、北海道を見て、聞いて、語ろう!―シニア世代の活用を、「シニアよ大志を抱け」― 文 佐藤 公
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2015年
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2014年
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2013年
- 冬将軍号・「夢・価値観・感動(満足)」そして「競争」---マーケティング思考からみた「モーターショー」の哲学 ---
- 錦秋号・夢と希望をかなえ、生きる力となる東京五輪―世界の言葉となった「おもてなし」で『日本力』を発揮するチャンスだ― ---
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