北海道自動車情報誌「カーピアCelhome(セロム)」は寒冷地の視点で車の特徴を紹介|発行:株式会社イベント工学研究所

北の大地・風を読む

本誌編集長 佐藤 公(さとうたかし)

2018年12月+2019年1月 冬将軍号

人生成功の道しるべ
「一行三昧」という禅の生き方

『世の中は、鏡に映る我姿、泣くも笑うも我次第』
 禅の世界には「一行三昧」(いちぎょう・ざんまい)という教えがある。
 「一行 」とは、一つの修業方法、やり方で「三昧」とは、心が清く静かになり乱れない状態をいう。つまり、ひとつのことを、ただひたすら長い間続け、一生懸命に取り組み、精進していると必ずその道の達人になるという意味だ。決してあきらめないこと、具体的な目標を持つこと、そして、それを実行することである。
 達磨(だるま)絵の禅画家として知られる、福井県美浜町・徳賞寺の粟谷正光住職(70)=雅号・大雲道人(だいうん・どうじん)の、達磨画の個展「大雲道人展〜禅と生きて、己を知る」が2018年10月、東京都港区にあるアンテナショップ「ふくい南青山291」で開かれた。筆者は好運にも個展に立ち寄る機会を得た。
 個展の初日に開催された、福井を舞台にした映画「サクラサク」の田中光敏監督(北海道浦河町出身)とのトークショーで、大雲さんは人生を振り返るとともに、美浜の風光明媚な自然や文化をPRした。
 大雲さんは還暦を迎えた2008年、北京五輪記念行事として北京で開催の展示会に出展する直前に、脊髄損傷し意識不明の重体に、大手術の末、命は取り留めたものの、2年間の入院生活を余儀なくされた。今も車椅子の生活となっている。
 「歩けない現実の中、歩けなくなった生き方を変えなければならないと次第に考えるようになりました 」
 そして、大雲さんは退院後の生活の中、二度と筆は持てないだろうと諦めていたが、達磨画を書き続け、2013年フランス最古の国際公募展「ル・サロン」で銅賞を受賞、以降6年連続で入賞という快挙を成し遂げ、受賞後日本や海外での出展依頼が多くなって来ているという。
 大雲さんの達磨の作品(モチーフ)はギョロリとした目、への字に結んだ口などを墨の濃淡で巧みに表現しているのが特徴だ。
 トークショーで、田中監督の「どのような思いで達磨を描くか」の問いに、大雲さんは「何も考えず思いつくままに描く。その時々の気持ちが達磨に移される。楽しい時は楽しそうな達磨、悲しいときは悲しそうな達磨になる。しかし厳しそうな達磨でも楽しい時に見れば、笑って見える。鏡を見るのと同じように、達磨を見ることで自分の心が現れてくる」と達磨画の魅力を語った。
 さらに、達磨の目は最後に描き入れると説明し、「数日たって入れる場合もある。完成していない作品を見て『目が入っていないよ 』と指摘する方がいるが、簡単に入れられるものではない。入れる気持ちにならないし、(その時は)入れる自信がない」など制作秘話を語った。大雲さんのこれらの制作作法は、(人の)生き方のあるべき姿を示唆しているとも言える。
 トークショーの最後に大雲さんは「これからも作品発表と併せてチャリティ用の作品を購売し、収益金の全額を社会福祉や慈善事業などに寄付をしていくことを続けていきたいです。そして少しでも障害者でもできる社会活動に精進努力いたします」と心境を語った。
 後日、大雲さんから筆者に個展参加の礼状(毛筆)をいただいた。「(前文略)四大不調の我が身に苦悩を抱いて来た日々…。誰のせいでもなし、自分自身の問題であり、只々現実を受けとめて歩いて行かなければならない!総持寺貫主、梅田信孝禅師にいただいたお言葉『世の中は、鏡に映る我姿、泣くも笑うも我次第 』を今も教訓として大切にしております。禅に導かれ流れる雲の如く、只、只達磨大師を描きながら自己をみつめ精進して行きたいと思います(後文略)」と筆を進めている。
 なお、冒頭で紹介した田中光敏映画監督とは、この個展で出会った田中光敏事務所のマネージャー、わにぶちさんから紹介をいただき、後日偶然にも札幌に仕事で滞在していた田中監督に友人と共に歓談する機会を得た。まさしく「一期一会」である。田中監督は2年後に劇場映画「北の流氷」(仮)〜襟裳岬を蘇らせた漁師たちの実話〜を制作の予定という。田中監督の素晴らしい人物像と作品などは別の機会に紹介したい。
 「ありがとう」「一期一会」「来る人には楽しみを 帰る人には喜びを」
 これは個展で大雲道人さんからいただいた3枚の揮毫書である。豪快な筆使いで、一枚一枚含蓄のある言葉である。
 新年にはどんな素晴らしい人との「 一期一会 」があるか。読者の皆さんの好運、 幸運を祈念して”ありがとう”   合掌。
(参考:美術屋「百兵衛」麗人社発行/福井新聞社他 )

本誌編集長 佐藤 公(さとうたかし)

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